不安障害とは
不安というものは、本来自分自身に警戒を促すために備わっている機能のひとつです。この信号によって危険や危機に備えたり、回避をします。
この機能は誰にでもあるものですが、不安障害では、その信号が過剰になったりすることで、危険や危機でないものにまで不安や恐怖を感じ、日常生活に支障が出てしまいます。
その他に人前での発表や意見を言う場面で不安を感じることは誰にでもあることですが、このような状況で普通の人より強い不安を感じてしまい、毎日の生活や仕事に支障をきたしてしまうことも不安障害のひとつです。
- チェックシートで自己判断してみましょう
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※このチェックシートは、不安障害の可能性を判断するもので、診断結果を表すものではありません。
- 重大なことも些細のことでも心配や不安を感じる
- 緊張していてリラックスできない
- 冷や汗をかいたり、赤面したりする
- 人前で何か話して恥をかいてしまうのではないかという強い恐怖感がある
- 過ちをおかしてしまうことや、誰かに見られ、評価されることがとても怖い
- 学校行事や人前で話すような社会的状況など、人の集まる場を避けることが多い
- 怖くて電話に出ることができない
- 予定が近づくとソワソワしたり、体調が悪くなる
- めまいや吐き気が続き、病院で検査をしても異常がない
- 不安、緊張が強くて会社や学校を休んでしまう
不安障害の分類・症状
不安障害は下記の分類があります
- 全般性不安障害
- 仕事や日常生活など、さまざまな出来事や活動に対して過剰な不安や心配をもつようになる症状です。この症状により落ち着きが無くなったり、頭痛や疲れやすいなど、日常生活などに支障をきたします。
- 社会不安障害
- 人前での会話などで極度の不安と緊張を感じ、混乱に陥るなどの症状が現れます。また人前で仕事をしたり字を書くなど、普通の人であれば特に緊張や不安を感じない場面でも強い不安を感じることがあります。
- 恐怖症
- 未来に対して漠然とした不安を感じることに対して、恐怖症はその対象が目の前や頭の中に、はっきりと存在するものに対して症状が出ます。例えば高所恐怖や閉所恐怖、先端恐怖なども恐怖症の対象です。その他にも、広場恐怖症や強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などもあります。
不安障害は下記のような症状が現れます
- 心の症状
- 些細なことが気になり、取り越し苦労が多い
- 常に緊張してリラックスできない
- そわそわ、いらいらして怒りっぽい
- 根気がなく疲れやすい
- もうろうとする、自分の体ではないような感じ
- 体の症状
- 頭痛、頭重感、頭の圧迫感
- 緊張感、しびれ感
- めまい、頭が揺れる感じがする
- 全身に脈拍を感じる
- 便秘または下痢、頻尿
ご家族の方や周囲の方から見ると、不安障害で悩む方に対して、そんなに心配しなくても大丈夫と考えてしまうことが多いため、訴えに対して軽く考えてしまうことがあります。自分自身がそれでも不安で強いストレスを感じるようなら、まずは当院へご相談ください。
不安障害の治療方法
不安障害はさまざまな要因でいくつかの分類に分けられる病気です。本人に合わせた療法を行うことが、早期改善の治療であると考えています。不安障害の治療には、「薬物療法」「精神療法」などがあります。
薬物療法
不安障害ではうつ病と同様にセロトニンが関連しているといわれています。そのため、主に抗不安薬、抗うつ薬などが使われます。これらにはそれぞれ多数の種類がありますので、個々の症状や体質に合った薬をふさわしい量だけ飲むことが大切です。
また症状によっては漢方薬が使える場合がありますので、まずはご相談ください。
精神療法
一般的に「認知行動療法」で不安をコントロールする療法があります。これは薬物療法を同じように効果があると言われていますが、本人の努力がとても大切です。
例えば、不安な症状を起こす状況などを擬似的に再現し、その状況下に身を置いて不安症状が収まるようにトレーニングするエクスポージャーという方法や、対人との話し方や視線、接し方のトレーニングをするソーシャル・スキルという方法などを行い、その恐怖に直面したときに感じる不安を自分自身でコントロールできるようにするものです。
パニック障害とは
パニック障害は不安障害のひとつで、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3つの症状があります。
その中でも特徴的な症状がパニック発作です。パニック発作は原因不明の激しい不安を突然感じ、動悸やめまい、呼吸困難などが現れます。
またパニック発作などを再度引き起こしてしまわないかという恐怖心や発作の予兆を感じて不安になったりすることもあります。
- チェックシートで自己判断してみましょう
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※このチェックシートは、パニック障害の可能性を判断するもので、診断結果を表すものではありません。
- 突然胸が痛んだり、動悸がする
- 息をするのがつらく、胸がつかえた感じがする
- めまいがしたり、汗をかく
- 胃の調子が悪い、吐き気がする
- ぶるぶる震えたり、体がうずくことがある
- とんでもないことをするのではないかと思う
- 自分が自分でないような気がする
- 自分は死ぬのではないか、気が狂うのではないかと思う
パニック障害の分類・症状
パニック障害は下記の分類・症状があります
- パニック発作
- パニック発作は何の前触れもなく、突然胸が痛んだり、動悸や息苦しさ、めまいなどの症状が現れます。この時、自分は死ぬのではないか、気が狂うのではないかと思うほどであり、病院へ駆け込むことも少なくありません。
- 予期不安
- パニック発作を繰り返すことで、また発作を起こすのではないかという恐怖感をもつことを予期不安といいいます。パニック障害の人の多くが、予期不安を感じています。
- 広場恐怖
- 予期不安がエスカレートすると、万が一パニック発作が起きたらすぐに逃げ出せない場所や、助けを求めれらない状況を恐れ、強く避けるようになります。その結果、一人で外出できなくなるなど、社会生活に支障が生じます。
パニック障害の治療方法
パニック障害の治療は「薬物療法」と「認知行動療法」が中心です。
薬物療法
パニック障害の薬物療法では、日本で主に用いられるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や、抗不安薬、三環系抗うつ薬などを使用します。
精神療法
パニック発作を恐れるあまり、生活が制限されてしまっていることも少なくありません。パニック障害は薬だけでなく、認知行動療法を組み合わせることが有効です。認知行動療法では、客観的に判断できるよう援助し、命に別状がないことだとわかってもらい、また本人が避けている状況に少しずつ挑戦してもらい改善を目指します。
例えば、電車に乗れない人であれば、薬を使いながら、まず駅まで行ってみる、次に電車を眺めてみる、というように少しずつ挑戦・克服し、最終的には電車に乗れるようにします。